タイトル<野菜の学校>
● 2009年度「野菜の学校」 ●
- 2009年9月授業のレポート -
開催日: 2009年9月5日(土) 会場:東京都青果物商業協同組合会議室
◆テーマ野菜:ピーマン&とうがらし
◆旬野菜:枝豆
【講義】
(1)
ピーマン・とうがらしの歴史、品種、生育、作型など
タキイ種苗(株) 茨城研究農場 奥原和武氏
(2)
栄養、調理保存
M-cooking-studio 松村眞由子氏
(3)
市場情報、出品品目紹介、旬の野菜「枝豆」情報
東京青果(株) 澤田勇治氏
【講義より】
 とうがらしは中南米原産で、コロンブスが、当時ヨーロッパで貴重だったこしょうと勘違いして持ち帰ったことから、世界各地に広がりました。甘とうがらしと辛とうがらしがあり、ピーマンは甘とうがらしの別名。日本へは1600年頃にししとうがらしのようなタイプが入ってきたようですが、ポルトガルの南蛮船によるものか、中国、朝鮮を通じてか、その経緯はよくわかっていません。
 とうがらしからピーマンへの育種は、主にアメリカが担っており、明治時代にベルタイプが日本に上陸しましたが、広まらず、昭和に至るまで、空白部分が多いそうです。日本では昭和30年代後半の食の洋風化に伴って、一気に消費が広がりました。
 昔から栽培されていた在来種としては細長い「伏見とうがらし」が有名で、これとベルタイプのピーマンを掛け合わせたのが「万願寺とうがらし」。最近は、古くからの地方野菜を見直す動きも目立っています。ピーマンの品種改良は、良品質のラージベルタイプと在来で高収量のししとうがらしタイプを掛け合わせることから始まり、ハウス栽培が主流になるにつれ、それに適した品種改良も進められるようになりました。
 ピーマンは緑色が一般的ですが、これは未熟な状態。なぜ未熟果が一般化したのかという背景の類推も、今回うかがうことができました。
 一方、料理のファッション化に伴い、カラーピーマンの人気も高まっています。輸入中心だった大きなパプリカから、日本の施設・消費形態に合った小ぶりなカラーピーマンの新品種が出回るようになっています。
 ピーマン栽培に適した温度は27℃で、ナス科の中でも最も高温を好む野菜とか。日本での栽培にはリスクが多いことも察せられ、ハウス栽培に必要な石油消費量はすべての作物の中で最大との話は印象的でした。
 栄養・保存・調理の基本的な知識は、管理栄養士の松村眞由子氏の担当。緑のピーマンは、実はカロテン含有量は400μgで、緑黄色野菜の基準値600μgを満たしていないのですが、食べる量や頻度が多いことから緑黄色野菜になっているとのこと。ビタミンCやEも多く、しかも、熱に弱いといわれるビタミンCが、ピーマンでは加熱しても壊れないという特長もあります。抗酸化作用、血液サラサラ効果など、ピーマンは栄養的に大変なすぐれものであることがわかりました。
 ピーマンは長い間子どもの嫌いな野菜NO.1です。その原因になっている独特の青臭さ・苦みは、水に通す、湯通し、油通しでやわらぐので、気になる場合は調理の一手間をかけるとよさそうです。
 品目紹介は澤田勇治氏。今回は、甘とうがらし類を中心に、とうがらしの多様さがしのばれる品目で、通常の緑ピーマンと赤ピーマン、パプリカ3色(赤、黄色、オレンジ)、小型のフルーツパプリカ「セニョリータ」、辛とうがらし、神楽南蛮、在来種の「万願寺とうがらし」「伏見とうがらし」、ジャンボとうがらしの「福耳」、京都に古くから残る品種を掛け合わせた篠ファームの「篠とうがらし」、大型のししとうがらしの京都の「田中とうがらし」、青森の「清水森ナンバ」の14品目をご紹介いただきました。
◆ピーマン

緑ピーマン
みおぎ(茨城)

赤ピーマン
土佐ひかり(高知)

赤パプリカ
ブレンディー(茨城)

黄パプリカ
ダービー(茨城)

オレンジパプリカ
フェリーニ(茨城)

フルーツパプリカ
セニョリータ(静岡)
◆とうがらし

青とうがらし
(千葉)

赤とうがらし
(千葉)

神楽南蛮
(山形)

万願寺とうがらし
(京都)

伏見とうがらし
(京都)

福耳
(栃木)

篠とうがらし
(京都)

田中とうがらし
(京都)

ホワイトホルン

清水森ナンバ
(青森)

世界のとうがらし
各種
 
【食べ比べ】
 出品は14品目。生と焼きで4品目(緑ピーマン、赤ピーマン、赤パプリカ、黄パプリカ)を食べ比べ。生は縦切りと横切りの比較も。食感、甘み、エグミ、酸味、ジューシーさなどをシンプルに比較できるように、生は縦、横、いずれも細切りに、焼きはオリーブ油を均一に塗って250℃のオーブンで焼いた後、細切りにしました。
 グループ討議の後に挙がった感想としては、「縦切りと横切りでは、横切りのほうがシャキシャキ感があって食べやすい」との声が多数。緑ピーマン独特の苦み・エグミの強さについては、縦と横で意見が分かれました。横のほうが繊維を断っている分、エグミが出やすいのか、縦のほうが噛みしめた時に中にこもるエグミを感じるのか…。赤ピーマンは、「甘さ、酸味があってフルーティ」、「味の濃さが他と比較してもすぐれていた」など。また、「焼くとトマトのよう」という感想も多数挙がりました。パプリカは、「生はジューシーでさわやかな甘さ」、「フルーツのよう」と好評でしたが、赤に比べて黄色は「全体にさっぱり」、「味が薄い」という評価でした。赤パプリカを焼いた時のトロッとした食感、甘さ、うま味の評価は高く、「焼きなすに煮ている」という声が数人から挙がりました。パプリカは、「色で味や香りがこんなに違うことが新鮮な驚きだった」という感想もありました。
 料理は、福耳と神楽南蛮を和風煮に。「辛みはあるが、トロッとやわらかい食感でおいしい」と好評でした。生のピーマンをせん切り(横切り)にして塩昆布であえた一品は、意外なほど箸が進む超簡単料理。ピーマンをたっぷりいただけるのでおすすめです。
焼きピーマン
和風煮
ピーマンの塩昆布あえ
【旬の食材:枝豆】
 終盤を迎える枝豆ですが、この時季においしい青森の「サヤムスメ」、同じく青森の「毛豆」、山形の「だだちゃ豆」の3品目を紹介。それぞれ大変個性的で、濃厚なうま味、味わいでした。
サヤムスメ
(青森)
毛豆
(青森)
だだちゃ豆
(山形)
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