タイトル<野菜の学校>
● 2011年度「野菜の学校」 ●
- 2011年9月授業のレポート -
 野菜の学校では、昨期、「日本の伝統野菜・地方野菜」の講座を1年間展開し、大変好評を博しました。今期は引き続き同じテーマで、毎月、昨期に取り上げられなかった一地方の、できるだけその時期の伝統野菜・地方野菜を数種取り上げます。授業は主に、「その地の専門家の講義」、「伝統野菜1種の他、地方産やハイブリッド種などとの食べくらべ」、「それぞれの野菜を生かした料理の試食」、「受講生の意見交換」で構成しています。
開催日:
2011年9月3日(土)
会場:

東京都青果物商業協同組合会議室

テーマ:

兵庫の伝統・地方野菜「八ちゃんなす、姫路れんこん2種、ぺっちん瓜、御津の青瓜、丹波山の芋、網干メロン、とっちゃ菜、ハリマ王にんにく、丹波黒さや大納言小豆、丹波黒枝豆(早生・だだ茶豆配合)、八角オクラ」

スタッフ:
スタッフリスト
 兵庫の夏の伝統野菜を紹介するにはちょっと遅く、秋のそれには早いというタイミングで、しかも今年の夏は天候異変で野菜の生育が難しいという悪条件が重なりました。

 しかし、講師の山根成人氏が生産者と密にコンタクトしながら調達してくださり、またJA兵庫手配の瓜2種も加わって、貴重な野菜を体験することができました。「伝統野菜の醍醐味は名前をつけるおもしろさ!」と言う山根氏命名の野菜もいくつか並び、例月に増して愉快な講座になりました。

 食べくらべは、黒田八郎さんが作っていることから山根さん命名の「八ちゃんなす」がテーマ。当日飛び入りで、生食が新鮮な八角大オクラの試食も加わりました。
【講義】

「兵庫の伝統野菜」

ひょうごの在来種保存会代表世話人 山根成人(やまねしげひと)氏

 山根氏は1985年より有機農法による「山根農園」、1986年より自家採種を開始。食糧の県内自給をめざして、その根本を県産種子の自給におき、種を採り続けることの大切さ、種採りは食文化を支えていることを訴えています。ひょうごの在来種保存会会員は現在約700人。著書に『種と遊んで』(現代書館刊)があります。

講義内容の詳細はこちら

 ☆   ☆   ☆

●スタッフである管理栄養士の松村真由子さんからは、この日の瓜3種の試食の際、甘さとエネルギーとの関連を確かめてほしいとの提案がありました。御津の青瓜は白瓜系なので15Kcal/100g、ぺっちん瓜はまくわ瓜系で32Kcal、網干メロンは露地メロンなので42Kcal。甘くなるほどエネルギーが高くなることを自分の味覚で確かめてみるよい機会になりました。また、れんこんや山のいものネバネバはムチンで、免疫力を高めたり、胃壁を保護してくれるそう。夏バテ防止にもよいので、この時期のお薦めとのことでした。

●東京青果(株)の宮坂守文氏からは、東日本大震災の市場への影響は風評は若干あるものの、市場の伸びは堅調であることが報告されました。近年、果菜類は一般に堅調だが、なすは一般の野菜に比べて落ち込みが大きいとのことで、漬けもの需要の減少が背景にあります。なすは皮がやわらかい長なす需要が増える傾向にあるそうです。

【食べくらべ】
 「八ちゃんなす」と、最も普及している「千両」、長なすの「筑陽」、赤なすの「肥後むらさき」の4種を、2%の塩でもんで1時間半〜2時間おいたもの、オリーブ油をまぶして焼いたものの2パターンで食べくらべました。また、他の野菜の簡単料理(後述)も試食しました。

 食べくらべのコーディネーターは山本謙治氏。山本氏は2年前に講師の山根氏に会って以来のファンとか。「在来のなすは、例えば山形のようにとかくその地に特化した個性的ななすが多いが、兵庫のなすは在来のものもとてもバランスがよく、感動したことがある」と話されました。



塩もみで食べくらべ


オリーブ油焼きで食べくらべ
 食べくらべは、もちろん、「おいしい・まずい」の表現はタブーです。各自で食べくらべ、「見た目」「食感」「香り」「風味」+「各自が決める指標」の5つの指標それぞれに評価をし、五角形のグラフに記してから、6〜7人のグループ単位で意見交換・発表をします。

 山本氏からは、皮のかたさ、果肉の密度・きめ、風味、アクなどがポイントになるとアドバイスがありました。「アクは地の味で、僕はアクとは思っていない」という自説も。

主な感想・意見はこちら

【当日の兵庫野菜とその料理】
 山根氏のお話と併せてご参照ください。
八ちゃんなす 姫路れんこん
ぺっちん瓜(別珍瓜) 御津の青瓜
網干メロン 丹波の山いも
とっちゃ菜 ハリマ王にんにく
黒さや大納言小豆 武庫一寸空豆、富松一寸空豆
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく
※各野菜名をクリックすると詳細ページがご覧いただけます
【その他、全体の感想より】
  • 初参加でしたが、知らない野菜がたくさんあって、改めて在来野菜の奥深さに気づかされました。料理もおいしかった。

  • 種子がその地が「好き」で根付いてきたものが在来種となる、という言葉にとてもロマンを感じました。楽しかったです。

  • 八ちゃんなすは非常にバランスのとれたなすであること、比べると、いかに千両なすに慣れてしまっていたかに気づいた。ぺっちん瓜は味も含めておもしろい商材。

  • 兵庫野菜も講師の山根さんも大変個性的で、楽しい時間でした。なすの多様さを再確認しました。また、瓜、れんこん、大納言と、思いがけずいろいろな野菜に出会えて、よい機会を得ました。

  • 今まで、自分としては野菜の食べくらべに重点を置いていましたが、種子に視点を当てたお話は大変興味深かった。

  • なかなか食べる機会がない「八ちゃんなす」をいただけ、トロッとした感じと甘さが初めての味わいでした。千両なすなど常に食べている味だけでなく、他の味に目を向けられたよい機会でした。

  • オクラが生で食べられたことは初体験で、驚きました。ふだんの生活で出合う野菜ではないので、大変勉強になりました。

  • 山根氏の話術に引き込まれました。話が楽しくてよかった。もっと聞きたかった。

  • 山根先生のお話がとても楽しく、勉強させていただきました。ありがとうございました。
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