タイトル<野菜の学校>
●野菜のおいしさを知る●
江澤正平さんの『野菜の学校』 NPO法人野菜と文化のフォーラム
- 2005年 6月期の学習 -
日時:2005年6月4日 PM1:00〜4:00 場所:東京都青果物商業協同組合ビル8階会議室
冒頭挨拶で鈴木康司さん「野菜と文化のフォーラム」理事長は、
“野菜人間”の活動を熱く、斯くの如き語る!。
【『野菜の学校』で、伝えたいこと】
野菜と文化のフォーラムが創立されて17年を迎えます。そして、NPO法人資格を得て3年、石の上にも3年といいますから、今年は、社会的に貢献する活動をすることになりました。まず、創立の原点にかえって、“安全でおいしい”、その意味を追求することにしました。 味覚の勉強となりますと、1981年、四季菜館を、1988年に野菜のフォーラムを創立したときから、“食べ比べ”をしてきました。その勉強会がやがて、有楽町のデパートで野菜の販売に活動をつなげたわけですが、東京で地方の野菜が食べられるということで、例えば、加賀野菜の源助大根など、マスコミの話題になり、大反響を呼びました。ところが、野菜が重たいとか、ただ話題性だけでは販路を広げられないなどを知りました。 こうしたこれまでの活動を通して、野菜が消費者に広く受け入れられるためには、「商品の知識」、「食べ物の知識」、「植物の知識」の必要がある、そのことを強く感じたのです。野菜は知識だけでもだめで、触って実践して、納得する、これをわたしたち「野菜と文化のフォーラム」の信念として掲げることとなりました。いま、箱物の野菜学校は、世間にいくらでもあります。 「食べてどうなのか、美味いのか不味いのか、聞く、見るだけでなく、舌がだいじなんだ」という信念…、これが野菜の学校の目的です。この学校には、それぞれの期待に答えてくれる講師陣が揃いました。 もう一つ、この活動を東京だけに止まらせず地方にも出向き、情報の提供を積極的に行い、そのサービスも広げていくつもりがあります。 わが国では年々、野菜の消費量は減少し、外食の野菜需要が伸びず、関係者はなにか方法がないかと悩んでいます。例えばピーマンは、美味くてもトマトのように糖度の上がらないところに需要の伸びない要因の一つがあり、フランス料理、中華料理、あらゆる実務者に呼びかけ、使っているほうの悩みに応える勉強会を開催します。また、8月27日,28日には岐阜高山で、“高山の野菜”の現地勉強会を開き、地元の野菜関係者との交流を行います。  あらゆる機会をつくり、野菜を食べる運動を広げていく計画です。 野菜の美味しさ失くしたのは、どこにあるのだろうか、そう考えたとき、結論は、今の世の中でいちばんの問題にある、「つながり」を失くしたところにあるように思います。なぜ健康にいい食べ物なのか、それを考えるとき、種から出来る、種は土からできる、土をどうしたらいいのか、そして、最終的に、土を作るのは人間──、すべてがそこにある、ということになるのです。 野菜は身体によいです。しかし近年、野菜の需要は伸びない、消費はピーク時に一人120キロの半分。江澤正平さん(「野菜と文化のフォーラム」名誉理事長)は、野菜の卸、中卸、小売を経験して、人生93年間が野菜だったといえる人です。江澤さんは、美味しい野菜を知れば食べる人が増える、その信念が「野菜の学校」です。
江澤正平さん、
「野菜の学校」開校にあたり、「美味いと感じる舌を学べ」と、その信念を淡々と語る。
江澤正平さん
野菜は生きもので、生きものを食べている感情と 味覚は聞く、
見るだけではダメで舌に感じること
野菜を食べる行為には、「植物(品種)」「産地」「味」の3つのたいせつな意味があります。「植物」とは自然環境が深く関わっていますし、「産地」は地方文化の象徴的なものですし、「味」はいのちです。このように重要な事柄が、野菜にはある、ということです。 野菜の味には、品種と作型が大きく影響をしています。人間にたとえると、“氏、素性”にあたり、育つ環境は“風土”になります。育て方は、土のことになります。
こうしてみますと、野菜は生きものである、というのを感じられると思います。 このように野菜の“氏と素性”と“産地(風土)”と“育て方”があり、さらに、いつ頃食べたらいいら美味しいのか、早採りか完熟か、といったいろんなことが含まれて、美味しいや安全があるわけです。また、高品質というのは、流通の中で、いわゆる鮮度ですが、本質は「栄養性」や「嗜好性」や「安全性」を指しています。  人が食べ物を作れないし、植物は植物の種からしか産まれない。つまり、植物は、野菜も自己防御するため、つまり、苦い、辛い、さらには有毒の物質をもって子孫を残そうとしているわけで、野菜は[甘い]ときは自分を成長させる状況で、「苦い」ならば自分を守る状況になっているので、子どもの野菜嫌いは当たり前なのです。  この教室は、野菜の商品、植物を識り、[食べること]に力点を置きます。
講義:『ナス、ピーマン、トウモロコシの植物学』
講師:荻原佐太郎先生(元日本園芸生産研究所所長)
『食べ比べ/ナス(茄子)・ピーマン・トウモロコシ(玉蜀黍)』
【産地と品種】
ナス:
岡山県=JA岡山西吉備路/品種「千両2号」
埼玉県=昔がえりの会/品種「式部」
長ナス:
福岡県=JAみなみ筑後瀬高/品種「築陽」
群馬県=JA群馬板倉/品種「築陽」
ピーマン:
茨城県=波崎町高砂支部/品種「みおぎ」
茨城県=鹿島丸東園芸出荷組合/品種「ニューフェイス」
岩手県=JA岩手花巻石鳥谷/品種「京鈴」
パプリカ赤:
熊本県=植木町松永元広/品種「スペシャル」
韓国=天下第一/品種「スペシャル」
パプリカ黄:
熊本県=植木町松永元弘/品種「フィエスタ」
韓国=華川農協/品種「フィエスタ」
とうもろこし:
宮崎県=JA尾鈴/品種「味来390」
山梨県=JA甲府市/品種「ゴールドラッシュ」
千葉県=JA北つくば結城/品種「味来130 」
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