タイトル<野菜の学校>
● 2010年度「野菜の学校」 ●
- 2011年2月授業のレポート -


青森野菜の展示

 今期は「日本の伝統野菜・地方野菜」をテーマに、毎月、一地方の、できるだけその時期の伝統野菜・地方野菜を数種取り上げます。授業は主に、「その地の専門家の講義」、「伝統野菜1種の他地方産やハイブリッド種などとの食べくらべ」、「野菜数種の生・加熱による試食」、「それぞれの野菜を生かした料理の試食」、「受講生の意見交換」で構成しています。

開催日:

2011年2月5日(土)

会場:

東京都青果物商業協同組合会議室

テーマ:

青森野菜
「雪にんじん、寒締めほうれんそう、寒締め小松菜、促成アスパラガス、たらの芽、大鰐温泉もやし2種、おこっぺいも、一町田せり、阿房宮」

 新幹線が開通し、脚光を浴びている青森県。雪が多い今年はとりわけ野菜の生産・出荷にもご苦労が多かったようです。きびしい寒さや風土を生かした青森特有の地方野菜・伝統野菜、珍しい郷土料理を味わい、青森の食文化を垣間見ることができました。
【講義】

「青森のうまい野菜たち」

青森県農林水産部農産園芸課 冬の農業推進グループマネージャー
舘田朋彦(たてだともひこ)氏

 青森県出身で弘前大学農学部卒業と、ずっと青森に深く関わっておられる舘田氏。青森の野菜及び花卉担当農業改良普及員として「ながいも」「にんにく」をはじめ地域特産野菜などの指導に当たってこられ、2005年より『あおもり「冬の農業」推進チーム』に所属。寒締めほうれんそうや雪にんじんなどの冬野菜の生産ほか、加工や農業体験などの取り組み・振興に取り組まれてこられました。当日、青森の食文化にも触れる機会にと、お母様手作りの葉ぐるみ漬けと赤かぶ漬けをご持参くださいました。
(今月の在来作物に関しては、後述の作物紹介の欄も参照ください。)

講義内容の詳細はこちら

 ☆   ☆   ☆

●青森新幹線が12月4日に開通。講座に先立って、調理担当スタッフで青森・鰺ヶ沢出身の白戸啓子さんたち数人が、青森県農林水産部のご協力を得ながら青森野菜の生産現場を見学した報告がありました。雪の中でのにんじんの収穫風景などを見ながら、これが朝7:30〜夕方の16:30まで手作業で行うという大変な作業であることなどを実感しました。その他、ハウスでのたらの芽栽培、一町田せりの雪よけハウス栽培などの様子がレポートされました。

●東京青果(株)の澤田勇治氏からは、東京市場に入荷する雪下にんじんは、青森、秋田、新潟などから、例年2月から3月中旬くらいまでだが、雪が多い今年は若干ずれそうという見通しがありました。雪下にんじんは一般より固定客の販売が中心だとか。収穫に大変な手間がかかっていることを消費者に知ってほしいとの要望もありました。

●スタッフである管理栄養士の松村真由子さんからは、ズラリと並んだ当日の青森野菜は、赤と緑のまさに緑黄色野菜で、ビタミンA、C、Eがたっぷりであること、それらが重なることで免疫作用がグンとよくなり、風邪もひきにくくなること、体を守るべき時にこういう野菜がちゃんと実っているという旬の妙を教えていただきました。また、もやしを洗うとき、水ではなく湯で洗ったほうがおいしくなり、翌日もシャキシャキしていて、ゆでても臭みが少ないといったアドバイスもありました。

【食べくらべ】

 「雪にんじん」、「同じ品種であるはまべに≠フ茨城産」、最も出回っている品種「向陽2号(千葉産)」を、「生」と「和風煮」で食べくらべました。

 食べくらべは、もちろん、「おいしい・まずい」の表現はタブーです。各自で食べくらべ、「見た目」「食感」「香り」「風味」+「各自が決める指標」の5つの指標それぞれに評価をし、五角形のグラフに記してから、6〜7人のグループ単位で意見交換・発表をします。


にんじんの食べくらべ

 今回は初めて、各にんじんの素性を明かさないまま、色のラベルを貼っただけの「ブラインド食べくらべ」にチャレンジしました。

◇オレンジ…雪にんじん(青森産はまべに)
◇グリーン…茨城産はまべに
◇ピンク…向陽2号(千葉産)

 3種を正解するのは簡単ではなかったようで、スタッフで司会役の山本謙治さんも当てられなかったと告白(?)。これで、受講生はかなり気が楽になったところで、グループ発表を開始しました。さて、それぞれのにんじんについての主な意見、正解は?

主な感想・意見はこちら

【当日の青森野菜とその料理】
※植物分類表記は、系統発生解析による新しいAPG分類体系に基づく
※各野菜名をクリックすると詳細ページがご覧いただけます
雪にんじん 寒締めほうれんそう
促成アスパラガス たらの芽
うど 大鰐温泉もやし
おこっぺいも 一町田せり
【青森の食文化を試食】
 青森には独特の食文化があります。特に保存食の知恵はすばらしいもので、その一端を試食しました。

詳細はこちら

【その他、全体の感想より】
  • 初めてのブラインドテストで品種当てはとても難しかったけど、おもしろかった。(多数)

  • ブラインド食べくらべが楽しく、勉強になりました。たくさんの試食があって、大満足でした。料理からの学びも大きく、参考になりました。濃い内容だったと思います。

  • 今日の食べくらべは楽しかった。視覚と味覚のギャップにこれだけ迷うとは、珍しい体験でした。

  • いつもに増した料理の量とクオリティに感動!

  • 青森の食材は地味だと思っていましたが、料理がどれも手がこんでいて、おいしく、見た目よく、満足しました。

  • 今回が一番心に残り、ためになりました。青森がこれからも活発になってほしい。

  • 青森にこんなに個性ある野菜があるのかと、改めて驚きました。

  • 本日は食べものが豊富だった。特に青森の特産品、とりわけ普通の家庭で食べられている保存食が味わえてよかった。
>>> 2010年度野菜の学校一覧へ